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ライトノベル

『負けヒロインが多すぎる!』雨森たきび 4巻感想 天愛星さんはもうダメだ

負けヒロインが多すぎる!

前回に引き続き、雨森たきび:著『負けヒロインが多すぎる!』(ガガガ文庫)4巻の感想をお届けします。

ネタばれも含みますので、どちらかというと既読者向けの記事になります。

あらすじ

夢子のヒミツ……のぞいてみる?

月之木先輩のナマモノBL本が、生徒会に没収されてしまった!

天愛星さんは職員会議にかけると息まいていて、このままでは文芸部もただでは済まない。そんなとき、志喜屋さんが協力を申し出てくれて――?

「天愛星ちゃん……落として……みる?」「はっ!?」やり方はさておき、新部長の温水が取り返すしかないみたいだ。八奈見には抜け駆け禁止と釘を刺されるし、志喜屋さんにはなにか違う目的もあるような気がするのだけど――。

ますます絶好調な大人気負け確ラブコメ、第4弾!

雨森たきび『負けヒロインが多すぎる!』4巻裏表紙より

 

今巻のメイン登場人物

志喜屋夢子(しきや ゆめこ)

ツワブキ高校2年生。生徒会書記。

ギャル系ファッション、露出多めの服、白いカラコンが好き。

虚弱体質(病弱ではないもよう)に加え言動に奇妙なところが多く怖がられているが、美人だと言われている。

登場人物紹介では「歩く屍系ギャル」と紹介されている。

生活態度はいたって真面目。

生徒会の仕事に関しても優秀だと評価されている。

友人も多い。

他人にどうみられるかをあまり気にしない自由人。

好きな人、気に入った人に対しては距離が近くなる。

おそらく恋愛やSEXに関してあまり制限がない人なのだと思う。

好きな食べ物は魚、ピーチティー。

温水は食べているところをなぜか目撃できない。

ボードゲームが好き。

実家はお金持ち。

成績は上の上。

 

馬剃天愛星(ばそり てぃあら)

ツワブキ高校1年生。生徒会副会長。

髪を後ろできっちりとまとめた真面目そうな女子。

ルールを非常に重んじている。

生徒会長の放虎原ひばりに心酔している。

月之木古都と文芸部を敵視している。

天愛星という名前を気にしている。弟は貴司(たかし)という普通の名前。

成績は下。

 

感想

あらすじの冒頭だけで面白い。
そしてひどい。

 

志喜屋さん

今巻のメイン人物ですが、今までの負けヒロインとは様子が違います。

志喜屋さんは失恋はしていません。

でも、憧れの人に拒絶されて傷ついているという意味では、彼女は負けヒロインなのかもしれません。

人からどう見られるか、人からどう思われるかをあまり気にしていなさそうな志喜屋さん。でも、そうでもありませんでした。

感情があまり顔に出ない自分がコンプレックスで、すぐに顔に出る月之木先輩は彼女の憧れでした。

憧れて、「その人みたいになりたい」というのは分かりますが、彼女のしたことはかなり極端です。やはり普通の感覚とはズレています。

でも、自分の感情がよく分からないのが辛いというのは共感できます。

「今どう感じているの?」と聞かれて、「分からない」という経験は私にもありました。

自分の感情や感覚を捉えるのが上手い人と下手な人はいるのだと思います。

それも個性や能力なのでしょう。

志喜屋さんも歳を重ねれば、変わっていくと思います。

マイノリティーであろう志喜屋さんを、理解はしきれないながら再び受け入れた月之木先輩は懐が深い人だと思いました。月之木先輩は別の方向にマイノリティーだと思いますが。

二人の間のわだかまりが解けて、幸せなクリスマスイブが訪れました。

今巻もハッピーエンドで、読後感が良かったです。

 

天愛星さん

天愛星さんの悩みは、ほとんどの人がいずれ向き合うことになる問題です。ほんの少数だけ向き合うことのない人生を送るのでしょうが…。

たとえツワブキ高校でトップレベルを維持して、例えば東大に行ったりしても、そこでさらに上がいることを知る。

東大でもトップレベルを維持したとしても、留学したり、就職したときにさらに上がいることを知る。

天愛星さんにとっては、それが高校入学の時に訪れたというだけです。

それでも腐らずに努力を続けている彼女は偉いと思います。

私は彼女に対して好意的に見ている部分と、否定的に見ている部分があります。

好意的な部分は、彼女がとても可愛いということです。

「チョロい」という言葉が私は好きではないのですが、単純な彼女は見ていてとても微笑ましいです。

堅物に見えて、とても純情なところも可愛いです。なんだかんだで温水のことを意識して、おしゃれしたり、一緒にいたがったり、プレゼントしたり。

まったく参考にならない朝雲さんの勉強法を聞いて、ジッと温水を見ている姿すら可愛いです。

否定的な部分は、彼女がルールを守ることに執着していることです。

ただルールだから守るという姿勢が嫌いです。

そのルールが守る価値があるのかをまったく考えていない思考停止した姿が嫌いです。

とりあえず危ないから、名札は外して欲しいです。

彼女の性格で名前をさらしているとか、危険極まりないです。

救いは名前が読みづらいということですね。

別の天愛星さんの救いは、自由人の志喜屋さんのことが好きだったり、最終的にはやはり自由人の月之木先輩のことも受け入れたりしていることです。

彼女は自分が思っているよりも、自由な心を持っているのだと思います。

BLにはまったことさえ、彼女にとっては良かったのかもしれません。

結局は天愛星さんもまだ若いというだけで、これから変わっていくのでしょう。

とりあえず、通学時間の校門でライトノベルの設定を問いただしたり、本人の前で本人が出ているBL同人小説を熟読するのはやめてあげて欲しいと思いました。

 

月之木先輩

今巻のトラブルの原因です。
「そんなもの学校に持ってくるなよ」という話ではあるのですが、放虎原会長なら笑って許すというように、その程度の話だとも思うのです。

むしろその程度のことでごちゃごちゃいう天愛星さんに問題を感じますが、彼女の真意は別にあったわけで。

作中では非常に問題の多い人物とされていますが、私はそれほどとは感じていません。

まだ語られていない悪事があるのかもしれませんが。

とりあえず受験勉強を頑張ってください。

 

八奈見

八奈見の中で変化が起きているようです。

八奈見の小説に出てくる女の子も、意中の彼氏を追いかけていません。

志喜屋さんとは逆に表情豊かで、自分の感情や感覚を把握するのも得意そうな八奈見。

3巻で温水に迫られていると誤解したことあたりをきっかけに、自分の温水への感情を自覚したのかもしれません。

クリスマスイブを乗り切るために100万桁の円周率表が必要だったそうですから、まだ袴田・姫宮夫妻を意識はしているようですが。

 

八奈見「抜け駆けは禁止」「抜け駆けは禁止だからね?」

何度も温水に言う言葉。

私にはその真意がまだ見えてきません。

そこが八奈見の魅力でもあると思います。

 

焼塩

焼塩が考えているのは、おそらく転校でしょう。

綾野との恋が終わった今、彼女がツワブキ高校にこだわる理由はありません。

彼女の陸上の才能を生かし、伸ばしていくには、環境の整った強豪校に行くほうが賢明です。

学年が上がるとき、彼女は決断をするのかもしれません。

温水に対しては好意的ですが、どのくらいのレベルで好意を持っているのかは不明です。

温水が志喜屋さんをクリスマスデートに誘っているのを見たとき、焼塩はどんな気持ちだったのでしょうか?

そのあとバスで温水と会ったときは、席を1つ開けて座っています。それが彼女の心の距離を表しているのでしょう。

 

温水

今まで温水のことをキモイとか思ったことはありませんでしたが、志喜屋さんの生態を観察して記録を取っているのは無理でした。

同人誌を取り戻す方法として、天愛星さんをだましたり脅したりではなく、「理解してもらう」という選択をするのが彼らしいです。

急激にモテてきていますが、自覚はまったくありません。

志喜屋さんはその気になればいつでも付き合ってくれそうです。

佳樹直伝『プレゼントをもらった時の心得』を実行し、天愛星さんも攻略。

照れずにこれをできるところがすごいです。

クリスマスイブに玉木先輩と男二人で同じドリンクをストローで飲んだりするから、佳樹に誤解されました。

佳樹は中学生の女の子なのだから、一人で夜にふらふらしないで欲しいです。

今巻を読んだ感じでは、温水が女性として一番意識しているのは志喜屋さんに見えます。

そして八奈見には嘘をついて取り繕いました。やはり彼にとって八奈見は何でもない相手ではないようです。

 

気になったことを箇条書き

  • 温水はなぜ「鳥を見る会」の写真の売り上げ枚数まで知っているのか。
  • 生徒会最後のメンバー、会計の桜井君登場。苦労人です。
  • 姫宮さんの空間よりも強い志喜屋さんの空間。能力バトルみたい。
  • 温水母のタンスの中にあったサンタコス。温水家は平和です。

 

伏線?

  • 不登校気味だった佳樹の友達がいる。温水は中学の時、その子と二人きりでゲームをしていた。ゴンちゃんではないと思われる。新たなヒロイン?
  • 八奈見が温水にプレゼントしたボールペン。本当に名前を間違えただけなのでしょうか?自分用におそろいのボールペンを作ったのでは?

 

今巻の豊橋要素

トヨッキー
  • まけんグミ
  • クレープ店『ロジャー』
  • 向山大池公園
  • アピタ向山店
  • 豊橋市役所13階 レストラン『こすたりかシティガーデン』

他にもあるのでしょうが、私が認識したのはこれくらいです。

3巻に比べて少ないと思いました。

まけんグミはじゃんけんができるグミです。開けてみるまで何が入っているかわかりません。通販でも買えます。

 

クレープ店『ロジャー』は精文館書店本店の近くにあるクレープ屋さんです。

以前、店の前を通ったら、行列ができていました。

残念ながら食べたことはありません。

向山大池公園は大きな池のある公園です。アピタ向山店のすぐそばです。

アピタではまけんグミやポテトフライを買えます。

『こすたりかシティガーデン』には入ったことはありませんが、豊橋市役所の13階は展望台になっていて、豊橋周辺を一望できます。

土日祝日も入れます。ただし正面の入り口は閉まっているので、横にある入り口か、地下から入る必要があります。

手筒花火や市電の展示があります。トヨッキーの写真はここで撮りました。

 

最後に

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

『負けヒロインが多すぎる!』は豊橋(三河地方)を舞台にした作品です。豊橋の風景やグルメがたくさん登場します。

実在する場所や施設が多いので、聖地巡礼に最適です。

豊橋は新幹線で東京から約2時間名古屋から約20分で行けます。

歴史的建造物やB級グルメ、映画やドラマのロケ地など、見どころがいっぱいです。

本作のファンなら、ぜひ豊橋に行ってみてください!

楽しい旅になると思います。

 

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