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ライトノベル

『負けヒロインが多すぎる!』雨森たきび 3巻感想 小鞠知花は感謝を伝えたい

負けヒロインが多すぎる!

前回に引き続き、雨森たきび:著『負けヒロインが多すぎる!』(ガガガ文庫)3巻の感想をお届けします。
ネタばれも含みますので、どちらかというと既読者向けの記事になります。

 

あらすじ

ツワブキ祭、恋の華は咲くや散るや――?

10月、温水たち1年生にとって初めての学園祭――ツワブキ祭が近づいていた。

3年生はここで引退し、残された温水たちが部を引き継ぐ。

文芸部の展示や部誌、クラスの出し物もあって準備に追われるなか、次期部長に指名された小鞠の様子はどこかおかしくて……?

生徒会メンバーや姫宮華恋にまで絡まれて、気ままな背景キャラだった温水の高校生活はどうなってしまうのか――。

あ、八奈見は今日も元気です。モリモリ食べてます。なんか安心するな。

負け確ラブコメ、第3弾。――それは、感謝とさよならのラブレター。

雨森たきび『負けヒロインが多すぎる!』3巻裏表紙より

 

今巻のメイン登場人物

小鞠知花(こまり ちか)

ツワブキ高校1年生。

髪の片方をサイドで縛ったショートカットの小柄な少女。

地味だが整った顔立ちをしている。

悲鳴がとても可愛い。

コミュ障で、言葉で話すより文章で伝えるほうが得意。

人見知りが激しいが、本性は割と毒舌。同級生は呼び捨てにしている。

温水にはなぜか早い段階で打ち解け、彼を罵っている。

温水と同じく校内の水道と水質に詳しい。

小説投稿サイトで上位を取れる文才を持っている。

腐女子で、同好の月之木先輩と作品、執筆、妄想を楽しんでいる。

家はあまり裕福ではない様子。

弟と妹がいる。

成績については作中で語られていないが、八奈見以上、温水以下と思われる。

 

玉木慎太郎(たまき しんたろう)

ツワブキ高校3年生。文芸部部長。

長身の爽やかイケメン。

古都が手を尽くして妨害していたため、自分はモテないと思い込んでいる。

幼馴染の古都のことが好きで、去年のクリスマスに告白した。

しかしその告白の内容がひどかったため古都には伝わらず、怒りを買っただけだった。

1巻で温水の仲裁もあり、無事結ばれた。

小鞠の思い人で、小鞠は1巻で告白したが断られ、主要負けヒロインの一人となった。

その後も良好な関係を続けている。

温水と話が合うオタク。

成績は上と思われる。

 

月之木古都(つきのき こと)

ツワブキ高校3年生。文芸部副部長。小鞠に対する勝ちヒロイン。玉木部長の彼女。

眼鏡をかけた長身の美人。長い髪を二つ結びにしている。

腐女子で、部誌に掲載する小説にすらBLを載せようとする。内容はきわどく、玉木部長の検閲に毎回のように引っかかっている。

小鞠とは同好の士。

小鞠のことを非常に大切に思い、可愛がっている。

以前は生徒会に所属していたが、ある事件がきっかけでやめた。

生徒会書記の志喜屋夢子に思うところがある。

いろいろ問題を起こしているらしい。

実家は酒蔵を営んでいる。

成績は下。

 

感想

小鞠と温水

1巻ですでに決着のついてる小鞠の恋。

小鞠には失恋とは別に、玉木部長と月之木副部長に伝えたいことがあります。

それは感謝と、自分は一人でも大丈夫だということ。

文芸部の展示で、一人で頑張ろうとする小鞠を温水は助けようとします。

助けに入った温水も、結局は一人で頑張ろうとします。

さすがボッチ気質。二人の共通点です。

そんな温水のために文芸部のメンバーが、綾野と朝雲さんが駆け付けます。

展示に関して、結果だけ見れば温水はほとんど何もしていません。

お礼を言いたい小鞠が困るほどです。

でも、みんなが力を貸してくれたのは温水だからであり、それは彼がツワブキに入学してからの半年間、あるいはもっと長い時間の中で培った信頼があったから。

温水本人には全然自覚はないようですが。

ツワブキ祭が終わり、次の問題は部長会。

コミュ障で、人前に出ると極度の緊張をする小鞠。

確かに小鞠に任せるのは無理があり、温水が代役を務めるのが妥当です。

温水がそれを伝えると強く反発する小鞠。

人と関わることを避ける、あるいは必要としなかった温水が、小鞠に積極的に関わろうとしています。

大きな変化と成長ですが、それは双方向の対話ではなく、まだ一方的に思いを押し付けているだけでした。小鞠の思いや考えをくみ取っていません。

手痛い失敗とともに、温水はまた一つ学び、成長したのでしょう。

小鞠と温水の違いは、『ぼっち・ざ・ろっく!』で言えば、ぼっちちゃん山田の違いなのだと思います。

山田や温水は一人が好きな人で、他人と関わらなくても平気です。

それに対してぼっちちゃんや小鞠はコミュ障だけど人と関わりたい。一人は辛い。

そんな小鞠にとって、玉木先輩・月之木先輩と過ごした時間は、短いけれど最高に楽しくて大切なものだったのでしょう。

それを失う覚悟でした告白は、勢いだけのものではありませんでした。

一人は辛い。

でも、いずれ人は自分から離れていく。

楽しい時間は失われるとわかっている。

だから自分から遠ざけようとする。

だから自分は一人で大丈夫だと証明する必要がある。

それが小鞠の思いであり、考えなのだと思います。

温水はあえて小鞠の思いを踏みにじり、怒らせることで小鞠の本音と言葉を引き出します。

八奈見が温水に諭した「会話」を実現させました。

小鞠が本音を吐露したことで、小鞠と八奈見と焼塩の距離も縮まりました。

月之木先輩が、そして小鞠自身が一人で大丈夫なようにと思っていたことは杞憂となり、小鞠に新しい仲間ができました。

結局は皆小鞠のことが大事。

それがうまく伝えられなかった、伝わらなかった。それだけの話なのかもしれません。

だけどそれを伝え合うのは本当に難しいことなのだと思います。

小鞠の顔に曇りのない笑顔が戻りました。

読後感の良い、ハッピーエンド。満足です!

そして温水、天然で小鞠を陥落!

負けヒロインは、今度は勝つのか負けるのか。

 

八奈見と温水

のんほいパークで温水が長時間うつむいて落ち込んだ時、ずっと何も言わずにそばにいた八奈見がとても素敵でした。

寄り添ったり、諭したり、焚き付けたり。

カリスマコンサル八奈見ちゃん大活躍です!

さすがメイン負けヒロイン!!

焼塩が公開告白されたのを見ても、展開を見守るだけだった温水。

しかし寸劇で八奈見がクラスの男子に抱きしめられるのを見ると苛立ちます。

温水にとって八奈見は「大食いで可愛いラッコ」ではないようです。

 

八奈見「抜け駆けはなしだよ

 
この後の巻でも八奈見は同じ言葉を口にしますが、そこに込められている思いは変化しているのでしょう。


1巻で温水に対する感情が「」だった頃を思えば、二人の関係はずいぶん変化しました。

この先二人は互いのことをどう思うのか。

今後の展開に期待しています。

 

姫宮華恋と生徒会役員ども

いみぎむる先生のイラストがようやく出ました!

姫宮華恋は確かに正ヒロインですね。

八奈見だってEカップあるのに、並ぶと控えめになってしまう…。

生徒会長・放虎原ひばり、副会長・馬剃天愛星
それぞれの性格に合った、素敵なデザインだと思います。

志喜屋さんは天愛星さんをおもちゃにして、とても楽しそうです。

 

甘夏先生と小抜先生

文芸部の顧問として小抜先生が就任。そのため今巻では小抜先生の出番が増えました。

保険医の仕事はちゃんとしていて安心。でも、それ以外はとても楽しそうです。性的好奇心という意味で。

甘夏先生は教師歴5年にして初めて生徒に相談されたそう。
この人に相談するのはヤバい」と認識されていたのでしょう。ツワブキの生徒は皆優秀です。

そして甘夏先生がようやく温水を認識。

消去法で推測するという荒業です。ある意味頭がいいです。さすがツワブキの教師。

ラスト『広小路でんでん』で飲み食いする二人。

小抜先生の温水の評価が興味深いところ。

そして成人式で何があったのかも興味深いところ。

 

気になったことを箇条書き

  1. 温水と小鞠の水道水へのこだわりは変わらない。
  2. 本への愛も加わって、朝雲さんのハイスペックが際立つ。
  3. 焼塩は今巻もお色気要員。
  4. 志喜屋さんと月之木先輩の関係が、少しずつクローズアップ。
  5. 温水のシスコンもクローズアップ。

4と5は、4巻と5巻への伏線になっていますね。

 

今巻の豊橋要素

広小路でんでん

今巻は豊橋の要素がたくさん登場します。

雨森先生の試行錯誤でしょうか?

それとも大人な事情が発生したのでしょうか?

 

場所・施設

  • 水上ビル
  • 道の駅とよはし
  • のんほいパーク

 

グルメ

  • ポテトフライ
  • むらたのたこやき
  • おつつみフィナンシェ
  • 広小路でんでんの竹輪

 

ウズラの卵シソの葉も豊橋の名産ですね。

他にもあるのでしょうが、私が認識できたのはこれくらいです。

 

のんほいパーク』には残念ながら行ったことがありません。

コラボイベントには興味があったのですが。

 

道の駅とよはし』は技科大から歩いて行けますが、普通は車で行くところですね。

個人的には「思ったより狭いな」と思いました。あれ以上広くても、採算が合わないでしょうけど。

 

むらたのたこやき』はすごく美味しかったです。

普段食べているソース味ではない焦がし醤油味。食べたことがないので味をイメージできずにいましたが、とても食べやすかったです。

たしか9個入りを買ったのですが、もっと多いのを買えばよかったと後悔しました。

豊橋に行ったら、ぜひまた食べたいです。

 

広小路でんでん

精文館書店本店のすぐそばにある居酒屋です。

自分で竹輪を焼いて食べれるというのが面白い。

人気店なので、予約は必須です。

刺身やおでんもとても美味しく、以前は遠慮なくお酒を飲んでいたので、楽しく美味しく飲み食いできました。

お勧めです!

 

最後に

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

負けヒロインが多すぎる!』は豊橋(三河地方)を舞台にした作品です。豊橋の風景やグルメがたくさん登場します。

実在する場所や施設が多いので、聖地巡礼に最適です。

豊橋は新幹線で東京から約2時間名古屋から約20分で行けます。

歴史的建造物やB級グルメ、映画やドラマのロケ地など、見どころがいっぱいです。

本作のファンなら、ぜひ豊橋に行ってみてください!

楽しい旅になると思います。

 

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